高品質な出力・ジークレー印刷

近年ジークレー印刷というものも増えてきています。これは8色、11色といった多色インクを使用した高品位インクジェットプリンターによる出力で、絵画のレプリカやデジタルアート、写真作品の出力方式として用いられています。美術展で作品のキャプションに記載されているのを見かけることもあると思います。

もともと「ジークレー」とは、フランス語で「吹き付けて色を付ける」という意味です。ジークレー印刷に使われるインクジェットプリンターは、多色インクを使うことで再現色域を広くとり、滑らかさも実現するという特徴を持っています。オフセット印刷では表現できない色域に属する鮮やかなオレンジ・パープル・グリーンといった色も、インクとして存在させることで、そのエリアの色域を広げています。用紙へのインクの受容性の問題からインクジェット対応の専用紙を使う必要があり、その点ではオフセット印刷よりも自由度は低くなります。また、機械的には大量ロットに対応したようなものではなく、ある程度高品位なものとして扱うのが妥当でしょう。

一般的にはジークレー印刷はまだまだこれからですが、今後印刷物の高級化が進んだときの一つのアイテムとして定着していく可能性もあります。今後は同じ作品をジークレー印刷で複製して販売しながら、美術展カタログはオフセットで印刷する、といったフローも出てくることもあるでしょう。その場合、データの一元管理に加え、色域の違う媒体同士をどのように存在させるか、という点が問題となってきます。

二つの媒体の色を正確に合わせるならば、再現色域の狭いオフセット印刷の色にジークレー印刷を合わせるしかないですが、それではせっかくのジークレーの色域の広さという長所を殺してしまいます。ジークレーの良さは最大限に発揮するようなものとしながら、オフセット印刷側はイメージ的にジークレーの出力と同じ、というのが正しい姿でしょう。このあたりの寄せ方は、絵画によってポイントがいろいろと違うので、一律に変換すればそうなるわけではありません。もちろん色域の問題はあるのですが、長年当社で積み重ねたノウハウで、かなりのところまでもっていけると思っております。通常のインキの限界以上を狙うなら高演色インキなどもございますし、特別に補色版を作って色を追加したりすることもあり得ますね。

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