環境対応のインキ

印刷関係で環境面の配慮というと、用紙の次にはインキが挙げられます。ただ、インキについては、印刷機に直接関連するために、用紙よりも慎重なチョイスが求められます。
インキの主たる素材は、色を出すための「顔料」と、それを分散させる「展色剤(ビヒクル)」をまざあわせたものです。インキメーカーではこのインキの基本的な構成の中に様々な材料を調合してインキとして仕上げていきます。環境対応のインキは、この組成の中に有害なものが入らず、環境負荷の低いものを使っているということになります。

従来よりエコインキとして有名だった『大豆インキ(ソイインキ)』というのは、油性インキの展色剤の部分の油分を大豆由来のものに変えたものでした。現在では大豆ばかりでなくコーンなど様々な素材が使われるため『ベジタブルインキ』と名称が変わっています。インキの性能的にも油性インキとして優れており、広く使われています。油性インキでは米ぬか油を使った『ライスインキ』というものも出てきております。糠として廃棄されがちな原料から作られた油を使ったもので、日本発のものとして話題を得ました。技術的には米ぬか油の特性がインキに適さない面があり、まだまだ技術的な改善も必要なようです。
一方UV印刷用の『ベジタブルインキ』は存在していますが、本来UV用印刷インキは乾燥機構が違い、インキ性能上は油分はなくて成立します。しかしベジタブルインキ=エコという認識が広がってしまっているため、7%ほど油分を添加してベジタブルインキのラベルを付けて流通しています。本来不要な油分で嵩増ししているようなもので、インキの性能的なメリット対しては疑問が残ります。

また、『ノンVOCインキ』というものがあります。VOCとは、揮発性有機化合物のことで、ノンVOCインキは構成成分中の高沸点石油系溶剤を1%未満に抑えたもので、健康被害などを引き起こして問題となる揮発性有機化合物(VOC)を極限まで減らしたインキといえます。UVインキは揮発性有機化合物(VOC)成分は含まれませんので、より環境に良いインキということができます。

ほか、インキにつけられる環境マークとしては、生物由来の資源を利用して、品質及び安全性が関連法規・基準、規格等に合致している環境商品であることを示す『バイオマスマーク』、バイオマス割合や、リサイクル適性・省エネ(紙からインキ除去のしやすさなど)を指標とした認定基準とした『インキグリーンマーク』、環境影響、労働安全、人の健康に対し適切でない化学物質を使用しない印刷インキに付与できる『NLマーク』などもあります。
それぞれマークが存在していますが、使用しているインキが適合していても、印刷物に掲載できるかどうかなどマークごとに使用規定があるので、使用の際には注意が必要です。
 
誠晃印刷でこのインキ関連で印刷物につけられるマークは、以下のものになります。
 ・ノンVOCマーク
 ・ベジタブルインキ
 ・バイオマスマーク
 ・ライスインキマーク(油性インキのみ)

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