UV印刷

よいものを守り続けるというこだわりを持つ誠晃印刷ですが、その一方でいいものは貪欲に取り入れていくというスタンスも持っています。その一つが、UV印刷の中でも最新の、ハイブリッドUV印刷機の導入です。

ハイブリッドUV印刷とは

UV印刷とはUV光で乾燥するインキを使った印刷手法です。通常の印刷インキでは乾燥は酸素が時間をかけて結合して固まる『酸化重合反応』によってなされるのに対し、UV印刷ではUV(紫外線)光照射による『光重合反応』によって行われます。

UV印刷自体は昔からあったのですが、強力なUV光を必要としたため、UV照射の設備が大掛かりでした。さらに、強力なUV光により発生してしまうオゾンのためのダクト工事が必要で、そこから排出されるオゾンの臭気の問題も発生しがちだったのです。環境にいいとはいいがたく、誠晃印刷のような都心工場には向かないものでした。

そんな中、比較的弱いUV光でも反応するインキが開発され、それに伴った印刷機が出てきました。これがハイブリッドUV印刷機です。

ハイブリッドUV印刷機のメリット

比較的弱いUV光を照射する方式のハイブリッドUV印刷機は、様々なメリットがあります。

1:印刷・加工時のトラブルが起こりづらい

インキが速乾するので擦れなどのトラブルに強いです。印刷した紙同士がくっついてしまう裏付きやブロッキングといったトラブルはなくなりますし、加工時の擦れなども起こりづらくなります。

2:パウダーが不要

くっつき防止のために必要な『パウダー』がUV印刷では不要なため、パウダーによるトラブル要素をなくすことができます。印刷面のパウダーによるザラザラ感などもなくなります。

3:色の沈みが少ない

インキが紙に乗ってすぐ固めることができるので、インキの色が沈まずに印刷することができます。ラフな紙や塗工していない上質紙など、インキの色が沈みやすい(ドライダウンしやすい)紙では、特にその効果は大きいです。

4:厚紙やフィルムなどの印刷も可能

傷がつきやすいため速乾印刷である必要のある厚紙や、酸化重合型の乾燥が難しいPPやPETなどのフィルムへの印刷も可能となります。

5:オゾンや臭気の発生がない

この印刷機は乾燥機構がコンパクトで、紫外線ランプも少なくてすみます。紫外線の波長もオゾンの発生が起こらない範囲の波長を採用しているので、オゾンやそれに際しての臭気の発生も起こりません。従来のUV機の環境面でのデメリットが解消され、速乾というメリットを享受できることになったのです。

誠晃印刷とUV印刷機の出会い

誠晃印刷では、このハイブリッドUV印刷機が登場した2010年、菊半裁5色機の初号機を導入しています。通常型の印刷でパウダーは技術的に完全に必要悪でしたので、それを使わないでいい印刷機(しかも公害の要素なし)ということで飛びついたのです。

5色機ですので、プロセス4色に特色1色という仕事に対応できるものなのですが、機械の普及がこれからでしたので、インキメーカーで特色の用意が追い付かず、苦労したこともありました。特色は自社で練ることもできるのですが、当時はその基になる基本のインキすらそろっていない状態だったのです。また金銀のインキも金属感が劣るということもあり、インキメーカーと一体になって改良を重ねていきました。

一方で、速乾のメリットとして、従来インキでは乾きの悪い用紙でも安心して生産することができるようになりました。印刷してすぐに加工に回せるのも大きなメリットです。今ではインキの性能も上がり、通常型の印刷と比べて勝るとも劣らないところまで来ております。もちろん、乾燥機構が違うので長所短所ということではあるのですが、UVが苦手とするところでもかなり良くなったので、今や誠晃印刷の主力の機械もハイブリッドUV機になっています。

UV印刷機でできること

ハイブリッドUV印刷機のメリットをいろいろとお伝えしてきましたが、具体的にはどういったものに力を発揮するのでしょうか?

1:プラスチックなどの特殊原反〜クリアファイルや什器など

PETなどには、通常の印刷インキでは乾燥しないため、UV印刷機が必要です。さらに5色機ですと、プロセス4色にホワイトインキまでワンパスで印刷できるので、透明な原反にうってつけなのです。クリアファイルなどは今まで以上に対応しやすくなります。

2:厚紙〜什器、POP、DM関連

厚紙もUVのほうが適しているアイテムです。厚紙は厚くて重いだけに、通常印刷ではパウダーが効かず、汚れや傷を起こしやすいのです。
誠晃印刷でもおかげさまで、このハイブリッドUV印刷機により什器やPOPの仕事が増えました。自社で印刷をこなせるようになったことで、詳しい営業が丁寧に説明を重ねて仕様を決め込みつつ、実際の印刷を立会・確認をしながらおこない、全体の流れもしっかり管理できるという安心感がご評価いただけたようです。

3:ラフな紙〜おしゃれなカタログなど

また、最近デザイナーさんたちが好みがちなラフな紙は、通常の印刷機ですと擦れや汚れ、裏移りなどが心配なものなのですが、そういった懸念が払拭されました。通常インキが乾くにしたがって、色が徐々に変化していく「ドライダウン」も起こりがちだったのですが、UV印刷ではその心配はなくなり、色の決め込みもしやすくなりました。もちろん、発色も沈まずクリアに出せるので、大変喜ばれております。

4:PP加工など

UV印刷機はパウダーレスなので、絵柄が重くても、刷り上がりでザラザラした感じはありません。PP貼りなどは、従来型の油性の機械でも昔からやってはいるのですが、パウダーがフィルムとの間に入り込むので、いろいろと気を使う必要がありました。でも、ハイブリッドUVなら粉落ちのトラブルもありませんし、密着不要もおこりません。何かと安心なハイブリッドUV印刷なのです。

5:食品関係などの印刷物

印刷のくっつき防止のパウダーは、主原料はデンプンで、人体には無害です。とはいえ、食品関係に使われる印刷物の場合、やはりほこりのように感じられるものが紙にくっついているのは、良くはないですね。ここでも、UV機は力を発揮しております。

UV印刷機の弱いところ

良いところばかりに見えるハイブリッドUVですが、もちろん比較的苦手とするところもあります。そちらもご説明をしておかないといけませんね。

1:インキなどが高価

特にハイブリッドUVでは通常のUV印刷よりも、少ない光量かつオゾンの発生しない波長で硬化させるため、その反応開始剤が多く配合されています。印刷会社では、効率性の部分でそのコストを吸収しているところが多いと思われますが、インキメーカーの素材原価からしてかなり高くなっているのです。そのほかの部材も油性インキ用よりも高めですし、電気代も油性の印刷機よりは余計にかかります。UVランプも交換が必要ですね。

2:蛍光インキがやや難しい

ハイブリッドUVのインキの反応開始剤には、薄くですが色がついているものしか存在していません。それに鮮やかな蛍光顔料を混ぜてインキをつくると、その濁りがわずかながら出てしまうというジレンマが発生しています。インキ自体の濃度も、もっと欲しいところです。

3:適正な水幅が狭い

印刷オペレータにとっての話ですが、適正な水幅がやや狭い、ということもあります。オフセット印刷は水と油の反発で絵柄を表現していて、そのために印刷機では版に水が供給されているのですが、その量の設定がやや微妙なのです。簡単に言えば、若干デリケートな印刷と言えそうですね。

これからのUV印刷

業界の中でもハイブリッドUVや、LED-UVランプを使ったLED-UV印刷は、まだインキもよくなるので、その取り回しの良さから、まだまだ増えてくるものと思われます。一方で、安く安くでやっているところはインキ代倒れする可能性もあります。

私たち誠晃印刷では、あらたな技術も貪欲に検証しつつ、品質の部分は下げることなく、よいものはどんどん取り入れていきたいと考えております。どうぞ、私たちに様々なチャレンジをさせてください。