誠晃印刷の想い

誠晃印刷は創業より常に品質・技術・実質志向を基本姿勢に発展した会社です。
創業社長(現会長)はオフセット印刷の技術者でした。

 当社が東京で創業した当時は高度経済成長期。まだまだオフセット印刷の機械もインキも紙も性能が満足いくものではなく、高品質の印刷物を常に提供し続けることは至難の業でした。別の印刷会社の製造した印刷物の得意先提出用の見本分のみを当社でつくる、などという信じられない仕事があったような時代です。誠晃印刷の高品質へのDNAはこの時代から培われております。

 しかし現在、印刷機やその周辺機器、インキや紙などの材料の性能も飛躍的にあがり、それなりの印刷物を製造することはさほど難しいことではなくなりました。一方で、デジタル化の進展でペーパーレスが進み、ありふれた印刷物はあまり必要とされなくなってきています。
これからの印刷物は、物理的な役目を担ったもの(例えばパッケージ・包装材など)、もしくはモノとして見る人に感動を与え、手元に残しておきたくなるようなもの(例えば写真集など)に集約していくのではないでしょうか。いずれも、デジタルでは実現できない価値の部分であり、これからの印刷会社の使命はそれらを次の時代に残していくことと考えています。

 誠晃印刷では、人に感動を与えられる印刷物の実現をめざして、様々な技術を磨いてきました。高精細印刷、FMスクリーン、高演色印刷、特色を使ったダブルトーン、トリプルトーンなどの技術は早くから取り組み、研究を重ねております。結果、実績を多数積み重ね、一工夫してさらなる高みに昇華させています。しかし、これらの技術も適材適所であり、使い方を誤ったり適切な処理ができないと、効果が出ないばかりか、逆に品質が悪くなることも考えられます。手にした素晴らしい技術も、優秀な使用者が正しい状況で使って、初めて輝きを放つものなのです。

 実は誠晃印刷の神髄は本当は別にあると考えております。いかなる技術を使おうとも、印刷は目指すべき理想の地点にむけて、安定的に近づけて製品にしていくことが重要な要素です。例えば美術品のカタログであれば、理想の地点は現物の絵画であり、そこにいかにイメージを近づけていくかがポイントです。いくらきれいに見える印刷物でも、本物との色の乖離が激しければ、品質が良いとは言えません。本物のイメージにいかに近づけられるかは、色調補正と管理の技術の賜物です。

 同じ理由から、当社では印刷立ち合いも積極的にお受けしています。デザイナーさん、写真家さん、アーティストさんの理想の色は、最終的にはご本人たちの感覚の中にあることが多いためです。色校正で詰めたうえで、最後のひと押しをしていただくには、印刷立ち合いは有効な手段なのです。
 印刷物の構想段階から参加させていただく場合には、当社のプリンティングディレクターが活躍します。早い段階から色の方向性を共有させていただき、現場に対して細やかに指示を出し、場合によっては特別な技術の採用もご提案しながら、最終的に製品が出来上がるまで伴走させていただきます。色と印刷の専門家として、お客様の理想イメージを具現化していくその役目は、とても重宝されております。

 印刷後の加工(ポストプレス)も、同様に様々なご要望にお応えしてきています。感動を与える印刷物は、同時に感動を支える加工が必要ですが、思わぬ落とし穴に落ちぬよう、綿密な打ち合わせと検証が必要となります。現場主義の誠晃印刷の真価が発揮されるところでもあります。

 ここまで、誠晃印刷のことをお伝えしてきましたが、ホームページなどをみれば他社様もとても素晴らしいことを言われています。私自身が他社様のホームページを拝見しても、正直どこもすごいと思ってしまいますが、やはりその中で本当の違いが判るのは、積み上げてきた実績ではないでしょうか?

 当社では、掲載をお許しいただいたものに限ってですが、一部実績としてホームページに掲載させていただいております。ぜひご覧いただければ幸いですが、森山大道氏をはじめとした著名な写真家さんの写真集、吉田ユニ氏をはじめとしたアート本のガスブックシリーズ、英国の世界的デザイナー集団OK-RMさまの冊子、美術館のカタログなどが目を引くことと思います。しかし一方で、かなり変わった意匠を加えた作品も多数あり、こういったものは着想したデザイナーさんと当社で様々な検討を重ね、現場との綿密な調整・検証の結果生み出されたものです。アパレル系のカタログなどもありますが、これらはもれなく服の色の合わせこみを綿密に行っています。中小企業の印刷専門家集団ならではの緻密さです。

 最近はジャパンクオリティを求め、海外からの引き合いも増えております。社会の中での印刷物の位置づけが変わり、ニーズが変わっている一方で、日本のモノ作りの世界的評価が上がってきています。誠晃印刷は、高品質な印刷専門家集団として、次世代の印刷物を提供できるよう、さらに研鑽を積んでまいります。これからの私たち誠晃印刷に、どうぞご期待ください。

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