アパレル業界のカタログ

アパレル業界のカタログ類は、商業印刷物の中でももっともシビアな管理を要求されるものの一つでしょう。企画デザイン上こだわりが大きいことが多いのも理由の一つですが、何と言っても服は感性の部分が大きく、その魅力をオフセット印刷という制約の中で紙で伝えることは、なかなか難しいのです。

最近は撮影ではデジタルカメラを使うことが多いですが、まずデジタルカメラで撮った画像はRGB画像であるということ。これを、印刷用にCMYK画像に変換が必要ですが、問題はRGB画像のほうが再現できる色域が広いということです。つまり、モニター上では見えても、印刷物にすると物理的に表現できない色が存在するので、下手に変換するとおかしくなることも。また、いろいろな要素により、撮影されたままのデータは、例えば全体的に赤かぶりになっているとか、ブレが生じていることもあります。

実際の布地とデータ上の色調がかい離していることもあります。色としては本当に微妙な違いで、ブラックからネイビーなど、すぐに違う色になってしまう商品も多くあります。加えて、アパレル印刷では、布地は風合いも重要な要素であり、質感の表現もポイントとなります。ものによっては、光るビーズがついていたり、布地の光沢感を特徴としたものもありますので、服や靴などの商品サンプルを山ほどお借りして、合わせこむ作業などもよくあります。

さらに、不要なタグなどをレタッチで消す必要があったり、色が現状これしかないが、別の色がメインなのでそちらに色変換してほしいと言われることも。ワッペンがあるのだが、撮影の時についていなかったのでつけてほしいなどというのもあります。アパレル印刷では通常春夏物のカタログは、2月から3月くらいにご納品が多いですが、そうすると撮影は冬。屋外の撮影のときはモデルさんも薄着で寒くて大変ですが、写りこむ木々の緑が冬っぽいので青々としたものに変えてほしいなどというご要望もあります。

そういった様々なご要望をいただき、商品の特徴をより活かす修正を行っていきます。オフセット印刷に使用する紙によっても、データ修正の仕方が変わります。そして、本番での印刷を考え、校正刷は本機校正。誠晃印刷では、本番を1号機で印刷する予定ならば1号機で校正を刷るといったように、高品質を実現するため機械違いによる変動の要素すら、排除しています。

本番の印刷時も、営業やプリンティングディレクター(PD)が立ち合いながら、サンプル布地などを参照しつつ、より近い方向に持っていきます。オフセット印刷機も毎時10000回転以上の超高速で回りますので、気が抜けません。

高品質を実現するには、ここまでやらなければ、と私たちは考えています。