特殊加工印刷

誠晃印刷はオフセット印刷の会社ですので、手法としてはいわゆる普通の印刷が主です。しかし、当社のお得意先様のご要望は様々で、社内でできる特殊なことはもちろん、オフセット印刷と組み合わされて使われる特殊加工も多くあります。おかげさまで誠晃印刷では幅広いネットワークを形成し、さまざまな手法についてのノウハウを積み重ねてきております。少し変わったものをご紹介していきます。

オフセット印刷に絡んだ特殊な手法

まず、オフセット印刷を使った特殊なものですと、クリアファイルなどに使われるプラスチックフィルム(PPなど)への印刷があります。こういった特殊原反はオフセットでもUV機でないと印刷ができず、どこの工場でもできるというものではないのです。しかも、透明なものですとホワイトインキを使うケースもあり、印刷の仕方なども少し複雑になります。
通常の印刷物でも使える、『高演色インキ』というものもあります。これは4色で再現できる色のエリアを広げた特殊なプロセスインキになります。一般的に通常プロセスインキにとって苦手な、紫、緑、オレンジといったものの鮮やかさは大分上がりますので、そういった色を印象的に使っているような絵柄の印刷物には効果があります。逆に、一般インキの表現領域内の色ばかりのような印刷物だと、あまり変わりはありません。インキは少々高価になるため、絵柄とその狙いによって、採用を検討されるべきアイテムではあります。また、通常のインキとは色域が広がってバランスが違うため、CMYKデータでなく色域の広いRGBのデータで入稿いただく必要があります。
銀箔などを紙に貼り付けながら印刷する「コールドホイル」という手法もあります。専用の機械で銀箔を貼りながら、その上に印刷をかけることで、豪華な金属光沢をもった印刷物にすることが可能です。版を作って、箔を部分的に貼ることもできるので、かなり意匠を凝らすこともできます。トレーディングカードのプレミアカードにあるようなレア感、高級感の演出には最適です。難点は、箔を紙の全面に貼るような量で使っていくので、箔の使用量が膨大になり、かなり高価になる点です。
スクラッチカードなども、時々ご相談があります。以前は銀で遮蔽するタイプが多かったですが、最近はカスの出ない『ダストレススクラッチ(10円玉でこすると、文字が浮き出る)』が多くなってきているようです。
特殊なコードを埋め込んだ印刷物を触ると音声が発生するペン状の電子機器(ある学習塾などでは、イーペンなどと呼んでいるもの)がありますが、そちらの印刷物の作成も可能です。よくあるのはモノクロでコードもなんとなく見えてしまっているようなものですが、当社ではカラー印刷にコードを埋め込むことも可能で、専用インキで印刷しますので、目立つことなく作成することができます。音声ペンの実績は数多くございます。

シルクスクリーンを使った特殊印刷

シルクスクリーン印刷は様々なところで使われておりますが、紙などに対して使う場合は、それ自体がかなり特殊といえます。オフセット印刷ではできない効果を、シルクスクリーン印刷に求めることになるからです。
まず、シルクスクリーンのニス厚盛は、よくあるものの一つでしょう。オフセットで印刷した絵柄の上に、透明のニスを盛り上げてかけるもので、見るからに変わっている印象を与えることができます。呼び名も、UVデコレートや、UVバーコなどと言われることもあります(本来のバーコ印刷は似て非なるものなのですが)。盛り上げない「艶のみ」というものも多いですし、表面をザラザラさせたようなチヂミ印刷などもあります。
そのほか、こすると香りが出てくる『香り印刷』、暗いところで発光する『蓄光印刷』、温度によって色が抜けて透明になる『示温印刷』など、特殊な機能を持ったインキを使った印刷ができるのもシルクスクリーンならでは。そのほか、様々なものがありますので、ぜひご相談ください。

箔押しを使ったもの

箔押しも、高級感を付加するためには、よく使われる加工です。金属で型を作り、熱を加えながら圧力をかけて箔を押す(ホットスタンプ)ことで、紙に箔が密着し、型の形に箔が転写されます。よく見られるのは金箔・銀箔で、金箔には色が濃いものや薄いものと様々あるので種類が多いですが、銀箔は色がついてしまうと『銀』ではなくなってしまうので、メーカーで3~4種類程度しかありません。
そのほか、赤・青といった色のついたメタリック調の箔や、ホログラムになっている箔、光沢だけを部分的に付加する透明箔、さらにそれにホログラムを仕込んだ透明ホロ箔、虹色の模様の入ったレインボー箔、パール調のパール箔などもあります。
単なる色だけの色箔もあります。印刷すればいいのに、と思われるかもしれませんが、黒紙など色のついた紙などに色をきっちりと出したい場合は、オフセット印刷では濃度が出ず下地が透けるので、箔やシルクスクリーンを使うことがあるのです。
箔押しは、物理的に箔を紙に転写するものなので、境界をきれいに出すことと、転写したところには箔に穴があかずにきれいにつけることが重要です。しかし、紙には様々な種類があり、柔らかさも厚さも質も違うので、箔にもそれに対応した様々な種類があります。箔をチョイスしながら、温度を変えたり、圧力を変えたり、速さを変えたりして、きれいに仕上げることが、箔押し工場の腕の見せ所なのです。
また、箔を使わないで押す手法(カラ押し)や、雄型雌型を作って形を浮き上がらせる手法(エンボス)もあります。

表面加工

表面加工というと、よくあるのはポリプロピレン(PP)のフィルムを貼る『PP貼り』です。通常は光沢のあるグロスPPか、マット調のマットPPのどちらかですが、最近ではマットPPよりもしっとりとした上品な風合いを持つベルベットPPと呼ばれるものも人気が出てきました。また、ホログラムパターン入りのものも存在します。
また、見た目はグロスPP貼りのように見えますが、フィルムを使わないプレスコートやLCコート(UVラミコート、トランスタバックなどといわれることも)もあり、これらは塗料を塗布して表面を金属やフィルムで平滑にしながら固めてからはがすことで、光沢を出させる手法です。LCコートは、その固めるときに密着させるフィルムを、ホログラムパターン付きのもので行うことで、ホログラム加工をすることもできます。これらは、フィルムを使わないのでリサイクルがしやすいのがメリットですが、フィルムではないので強度的にPP貼りよりは劣るのがデメリットです。