【K100とリッチブラックの違いと使い分け方】

印刷における「黒」は一つではありません。実際の現場では、「K100(スミ100%)」と「リッチブラック」を使い分ける必要があります。
どちらも一見すると黒に見えますが、印刷結果には大きな差が生まれます。


まず、K100はCMYKのK(ブラック)だけを使った黒です。
小さな文字や細線に適しており、にじみやズレが起こりにくいため、シャープな
印刷が求められる場面で使われます。特に文字データにはK100が基本です。



一方、リッチブラックはKにC(シアン)やM(マゼンタ)などを加えて、より深く濃い黒を表現する方法です。
例えば「C40 M30 Y30 K100」といった組み合わせが一般的です。
ベタ面や背景など、面積の大きい黒を美しく仕上げたいときに有効で、より豊かで高級感のある黒になります。

ただし、リッチブラックには注意点もあります。複数の色を重ねているため、文字や細かい図形に使うと版ズレにより文字がにじんでしまうリスクがあるのです。したがって、「面はリッチブラック」「文字はK100」といったように使い分けるのが鉄則です。

また、Illustratorなどのデザインソフト上ではリッチブラックの設定がモニター上では目立たないことも多いため、最終的な仕上がりをプルーフや本機校正で確認することが重要です。

このように、一言で「黒」と言っても、印刷の現場ではその特性と用途を理解した上で選び分ける必要があります。適切な使い分けが、美しく読みやすい印刷物を実現します。

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