【PANTONE(パントーン)社製のインキは存在しない?】
特色の指定では、DICやPANTONEで指定している番号などを使うことが多いですが、入稿から印刷まではどういう流れになっていくのでしょうか。
この特色情報はDTPソフト(IllustratorやPhotoshopなど)にも組み込まれ、ユーザーがその番号をソフト上で指定すると、それに対応したLab値やRGB/CMYK値を引っ張り、画面に該当の色で表示される流れになっています。一方、版として出力(刷版)する際には、この特色版は通常の4色(CMYK)とは独立した「別版」として処理されていくわけです。
DICとPANTONEの供給体制における決定的な違い
実は、特色ブランドの2大巨頭であるDICとPANTONEには、インキの供給システムにおいて大きな違いがあります。
DIC社はもともと顔料メーカーで、自社でインキも作成しているので、その同じ仕様のインキを販売もしています。
一方、PANTONE社は色の基準を決めている会社で、自らで販売する色チップは自社製の独自インキで印刷していますが、そのインキ自体は販売しません。インキメーカーではないが、色の基準を提供するからには、その元となる顔料やインキを他社に任せるわけにはいかない、ということのようです。
一方で印刷会社にインキを提供する必要があるので、PANTONE社は各インキメーカーに品質ライセンスを課して、製造することを認めています。インキメーカーは、定期的にサンプルを送付して、色差(ΔE・デルタE)が許容値内にあるかどうかのチェックを受けるのです。ですので、許容値内とはいえ、厳密にいえば細かい材料までが全て同じとは限らず、本質的な色差が存在するかもしれない、といえます。
見本帳を超えて「デザイン上の理想」をカタチにする現場の力
本来、色は見た目が許容範囲なら良く、さらに本当は指定のチップの色は必ずしも理想の色ではないこともあり、あくまでデザイン上の理想に近い色が良いのは当然です。色チップは共通認識となる基準であり、本当は絶対的なものではないはずなので、当社のプリンティングディレクター(PD)は打ち合わせを通して本当の理想点を見出し、印刷現場とともに切磋琢磨しているのです。
近年のDTP環境の変化:PANTONEからDICへのシフト?
調色をめぐる環境は、ここ数年で大きな変化を迎えています。
2022年秋からAdobe社とPANTONE社の契約が変更になり、IllustratorやPhotoshopにあったPANTONEのカラーライブラリは、有料プラグイン「Pantone Connect」への移行により順次オプションとなっていくようです。
DICは変更なく使えるようなので、もしかすると日本のデザイン・出版界ではPANTONEを使うケースが徐々に減り、DIC指定が増えていくのかもしれません。




