【オフセット印刷は水と油の関係で成立している】
【オフセット印刷は水がないと印刷できない?】
オフセット印刷は「水と油は反発する」という性質を利用した技術です。版面には印刷に使う油性インキが乗る部分(画線部)と、インキがついてはならない部分(非画線部=白地部分)が存在します。この非画線部は親水性で「湿し水」を供給することで油性インキをはじき、画線部にだけインキを定着させる仕組みです。つまり、オフセット印刷の品質を安定させる上で、水と油のバランス管理は最重要の要素といえます。
湿し水は単なる「水」ではなく、印刷適性を高めるための薬品が添加されています。主な役割は以下の通りです。
・親水性の非画線部に湿し水を供給する。適量の湿し水が非画線部にあり続けること、絵柄の白地部分にインキが付着するのを防ぎます。
・印刷中の版面を冷却する。高速回転する印刷機では熱が発生します。適温に調整された湿し水は冷却水の役割も果たし、温度による冷却と気化熱による冷却で機上の温度を安定させます。
・インキと湿し水が接触することで、乳化(インキ中に微細な水滴が混ざる現象)が適度に起こり、インキの紙への転移性が安定します。乳化が過度に起こると、乾燥不良を引き起こします。
・紙粉や汚れの付着を軽減する。湿し水に含まれる界面活性剤やアルコール類が、版面の清浄性を保ちます。
このように湿し水は、多面的な役割を担っています。
オフセット印刷において、湿し水が多すぎると発色不足や紙の伸縮による見当不良を招き、最悪インキの過乳化による乾燥不良を起こします。逆に少なすぎるとインキが非画線部に回り込み、地汚れが発生します。本質的にはきれいな印刷物のためには、問題が起こらない限りできるだけ水は絞るほうが網点がクリアに出るのでよいといわれます。
オフセット印刷の中に、水無印刷というのがあります。PS版の非画線部に油をはじく性質をもともと持たせることで水を必要とせず、添加剤の入る湿し水がないので環境面からもよいといわれたりもします。水が不要というのは本質的には網点再現には有利なのですが、最も冷却効果が高い湿し水が気化する際に奪う気化熱がないおかげで版面の温度管理が格段に難しくなります。
また通常、インキは微妙に乳化して印刷に適切な粘度と固さを保つところ、水がないおかげで乳化が全く起こらないため、水無印刷では様々な微妙な調整と、それなりにチューンナップされたインキを使用します。こういった微妙な管理調整を要求される手法は、はまってくれれば高い効果を発揮しますが、色の合わせこみを要求されたときに無理がきかないという問題が発生します。誠晃印刷では、立ち合い希望も多く色の合わせこみを求められがちな関係から、水無印刷は行っておりません。




