【断裁精度と仕上がりの管理】
印刷物の仕上がりは、制作時は通常内トンボで断裁したもので想定しています。しかし、紙は湿度の影響を受けて伸縮しますし、オフセット印刷機の圧は紙伸びを引き起こします。断裁機も、アナログの世界なので、被りという現象で微妙に誤差が発生することもあります。これらがどの程度発生するかは状況によってしまうので、ある程度は想定して回避できても、正確に規定することはほぼ不可能です。
制作時、トンボは3mmでつけることが一般的です。そして、その3mmの中には塗り足しとして、絵柄や写真などをはみ出させて制作します。本来は塗り足し部分はなくなってしまうはずなのですが、この部分が不確定要素の最悪時のリスクヘッジとなります。当社では、断裁で3mmもずれるということはまずありませんし、それだけずれればデザイン上のバランスにも影響をしてきてしまいますが、伝統的に安全のしきい値として使われてきました。しかし、仕上がりまでしか絵柄がないとなると、0.1mmのズレでも白がでることとなるので、塗り足しを入れていただくことは印刷物では必須です。
断裁機で精度を出すためには、まず温度・湿度の管理から始まります。そのうえで、きちんとした紙の揃えが重要です。もちろんそして特に誤差が厳しいと判断されるものは、断裁刃の被りを最小限にするために少量ずつ切ったりします。求められる精度と内容を鑑みながら、断裁オペレータが適切なところを判断していきます。
断裁工程は4方を切るということは4工程になりますから、どうしても誤差は発生しますし、その誤差も厳密にはばらついています。モノによっては、仕上がりサイズは寸分違ってもいけない、ということをいわれる場合もありますが、その場合は抜き工程で処理することもあります。
印刷・加工現場では、このようにいろいろなことを加味して作業をしておりますが、いずれにしてもアナログの世界で、多少の差はあれ、どうしても誤差は生じます。デザイン段階では、まず「加工には必ず差が生じる」という前提を持っていただき、微妙なずれはデザイン上目立たないようにご配慮いただくと、トータルうまく仕上がります。よくデザインで問題となるのは、仕上がり寸法から例えば2mmの幅でフチをつけるといったようなものです。断裁が仮に左に0.5mmのずれが生じると、左右のフチの幅が1.5mmと2.5mmとなってしまい、均等なデザインには見えなくなってしまいます。これが、10mmのフチなら、9.5mmと10.5mmなので目立ちにくくなります。
また、仕上がりサイズが小さいもののほうが、当然のことながら誤差が気になりやすくなります。A4のフライヤーで仕上がりサイズが仮に2mm大きくてもほぼ気にならないでしょうが、名刺でそれくらいずれるとかなり違和感が出てくることでしょう。断裁オペレータもそういった要素を踏まえて作業はしておりますが、仕上がりサイズが小さいものは、よりデザイン的な配慮をいただけると安心です。
一方で、デザインは攻めたくなるのも常です。重要なのは、デザイン段階から制作意図を印刷営業と共有させていただき、そのデザイン的なポイントを実現すべく、製造上の危険性を見極め、回避の方法を探り、適切な工程設計をすることです。断裁工程に限ったことではないですが、印刷物はアナログの製品であるという点をご認識いただき、早めの情報共有と前もって解決法を探ることが絶対的に必要な要素となってくるのです。
印刷工程でのアナログ制御 →「オフセット印刷の見当と濃度って何?」




