【インキの退色と耐光インキ:なぜポスターの色は褪せるのか?】

貼りっぱなしのポスターなどで、黄色が抜けてしまって色が不自然になってしまっていたり、ひどいと青系の色しか残っていないようなものを見たことはないでしょうか?これは、紫外線などによりインキの顔料の色が抜けてしまう、「退色」と呼ばれる現象です。

プロセス4色だと、黄色(Y)が圧倒的に弱く、紅(M)がそれに続きます。Yインキばかりでなく、一般的に鮮やかな色は耐光性が弱く、高演色インキや蛍光インキなどを使う場合は、その印刷物がどのような使用環境で、どの程度の期間使われる予定なのかを確認するほうが良いでしょう。

インキには「耐光インキ」というインキもあります。紫外線の影響を受けづらい顔料を使用したインキで、耐光性が強化されているものです。反面、どうしても色が濁る色調となり、シビアな印刷物だと通常のインキを使った印刷物と同じ色での再現が難しいケースが出てきます。特に鮮やかな方向の色に再現できない部分が通常のプロセスインキ以上に発生します。それ以外の色でも該当の耐光インキのCMYKのバランスを調整したRGBからの変換プロファイルが必要となるはずですが、インキメーカーでの提供はあまり見かけないようです。耐光性を求めるもので、そこまで色を緻密に追及するものは少ないからかもしれません。

現実的には、屋外ポスターなどに高演色印刷を提案したり、蛍光イエローを使用するデザインなのを見逃したり、といったところがなければ、問題になることは少ないでしょう。長期にわたって掲示されることを想定する場合に耐光インキを検討しますが、仮に耐光インキであろうと徐々に退色はしていきますので、ハードな使用環境下で色調を絶妙に合わせこんでもあまり意味がないということなのかもしれません。

また、印刷方式の観点から見ると、シルクスクリーン印刷などはオフセット印刷に比べてインキの膜厚が圧倒的に厚いため、物理的に耐光性が高くなります。 長期掲示が必須の看板やステッカーなどにシルクスクリーンやUVインクジェットが選ばれるのは、インキ自体の耐光性に加え、この「膜厚」というアドバンテージがあるためです。

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