オフセット印刷の魅力

出版印刷の世界で「グラビア雑誌」「グラビアページ」と言われるのをきいたことがある方もいらっしゃるでしょう。これはもともと写真のページなどが「グラビア印刷」という手法で印刷されていたために、そう呼ばれているのです。

今は、多くがオフセット印刷となってしまいましたが、呼び方はまだ残っています。
また、新聞などでは凸版印刷が使われていました。それが現在、出版印刷の多くはオフセット印刷に置き換わっています。それはなぜなのでしょうか?

まず一つ目には、オフセット印刷の品質向上が挙げられます。
以前は、きれいなカラー写真などはグラビア印刷の発色には明らかに及びませんでした。
最近はオフセット印刷もかなり品質が上がって、一般的には品質的な遜色がなくなってきています。機械は高速化・高品質化したうえ、版の取り換えもスピード化が図られ、仕事と仕事の間の時間も短縮されたため、多品種少量生産を求められる現代にマッチしていたと言えるでしょう。

二つ目に、オフセット印刷は版材が安価である点でしょう。
特に価値が多様化した現代のように出版物の大量ロットが見込みづらくなってしまった状況では、一枚印刷するためにでも高価なシリンダー式の版代のかかるグラビア印刷はリスクが大きいものとなっています。一方オフセット印刷は、PS版というアルミの板に焼き付ける方式ですので、版コストは桁違いで安いものとなります。
また、版の作成時間もグラビア版や凸版と比べて、圧倒的に高速です。

三つ目に、印刷機台数の多さが挙げられるでしょう。
上記の理由などでグラビア印刷の需要が減っていきますと、当然機械の稼働率も下がります。そうすると、機械の台数も減少しますので、仕事がかち合ったり、思わぬトラブルで印刷予定がずれたりすると、その調整も苦労をすることになります。
グラビア印刷の良さをわかっているクライアントさんも、徐々にオフセット印刷採用の方向に心が動いたことでしょう。

四つ目に、印刷のカラー化のニーズがありました。新聞印刷などでは、かつてモノクロの凸版方式が多かったですが、版の取り扱いのしやすさなどから、設備入れ替えの際にはカラーのオフセットとなっていきました。

こうしてみると使い勝手の良さがオフセット印刷の大きなメリットのようですが、オフセット印刷の魅力はそればかりではないと、我々は考えています。
処理のノウハウはそれなりに経験を持っていないと難しいところがありますが、モノクロ調の写真にダブルトーンの印刷を採用することで、格段に深みのある表現ができたりします。写真集など、こだわりのある出版印刷におすすめです。

アパレル印刷などで多くあることですが、生地の雰囲気を表現したりする場合は、オフセットならではの緻密な落とし込みで実現できるものと思います。
また、通常の4色以外の特色(金銀、蛍光色など含む)を使うことも可能ですので、幅の広い表現が可能なのです。

通常よりも細かい網点を使用する高精細印刷や、理論的に表現できる色域を拡張した高演色インキ、モアレの恐れのないFMスクリーンなど、うまく使っていくと効果を発揮してくれる技術もあります。技術力はあっても、デザインや企画制作の段階から、その特徴を生かし手法を組み合わせて、それを適材適所で使っていくためには綿密なやり取りが必要です。
そのために東京都新宿区(神楽坂)という土地に工場があるのは、我々の大きなメリットなのです。

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