実績[販促広報物(パンフレット・カタログなど)]

誠晃印刷で印刷した制作物の一例をご紹介いたします。

千賀健史個展フライヤー(アートセンターBUG 様)

株式会社リクルートホールディングスさまが東京・丸の内で運営する「アートセンターBUG」。ここで、2024年3月から千賀健史個展「まず、自分でやってみる。」が開催され、そこで配布されたフライヤーを作成しました。デザイナーは加瀬透氏。

色についても強いこだわりを持つ加瀬氏ですが、今回のポイントはたくさんあいた穴。A4の紙の中に絵柄と文字がレイアウトされたフライヤーですが、そこにランダムっぽく50個近く穴をあけるという仕様です。ぱっと見から穴だらけでとんでもないインパクトがあり、あえて穴を地図や文字にかけているところもあるので危うい印象を抱きますが、表裏とも読解不能な個所はなく、フライヤーとして情報を伝えるという役割はきちんと保っています。そのためには、すべての穴の位置を緻密に設計し、また実際にその位置にきっちりと穴を開けることがもとめられます。1枚だけ作るならどうということないですが、大量の枚数を間違いなく作るためには仕様設計と製造設計が重要となります。

一見穴あけ機(穿孔機)で開けたようにも見えますが、実際には抜型を使った型抜きの手法で作られています。この場合、一番の問題は抜いた後のカスの除去となります。50個近い穴の抜きカスは、自然に落ちるものもありますが、かなりの部分が不規則に紙に残ります。これを検品しながら50個すべての穴のカスをつついて落とすというのは、とんでもない手間と時間がかかります。カスをとるためのばねのついた丸刃なども存在はしますが、工程や仕様を考慮すると今回は現実的ではありません。

今回、正確な位置に穴を開けるにあたり、まずは用紙の直角出しを行っています。基準をきちんととることが、正確な加工へとつながります。そして、抜き加工の工程の前にカスとり対策として本来不要である白紙と刷本を丁合して、天糊加工を行っています。この天糊を行った1セットの白紙と刷本をまとめて抜くことで、抜かれた部分が白紙と一体となり、抜き後不要な白紙部分をはがしてやると、穴のカスを一緒に排除することができるのです。

それでもごく一部のカスが残っている可能性はあるので、検品をかけたのち、仕上げ断裁という工程で仕上げました。結果、当初想定した精度も保つことができ、これだけの数の穴をあけ、表裏通して読めない個所は1か所もないという奇跡のフライヤーが完成しました。

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