トライアル事例

ラボ vol.2 印刷でネオンサインを表現せよ! その2

プロセスイエローを蛍光イエローに置き換えるのは、結構うまく行きました。ただ、オレンジ~イエロー~黄緑あたりに色のポイントがある絵柄には効果的ですが、パープル~レッドあたりの色については、イエローインキの割合が少ないので、あまり効果はありません。こういった色が印象的に配置された鮮やかな絵柄にはまた別の手を考える必要があります。

この近辺の色は、マゼンタ(紅)インキがかなり主張する色となります。一つにはマゼンタインキを鮮やかなものに変える手が考えられますが、蛍光色を考えるとピンク系の蛍光インキとなります。しかし、マゼンタインキを蛍光ピンクに置き換えても、蛍光ピンクはマゼンタとは色相が大きく違う上、濃度もないので色のバランスが取れません。

マゼンタインキに蛍光ピンクを混ぜる手も考えられますが、鮮やかさを目指して蛍光ピンクを多くすると濃度感はやはり落ちてきます。濃度感が落ちるとインキの主張は少なくなるので、色のバランスが崩れやすくなることに加え、力強さに欠けがちになりました。かといって、添加量を少なくすれば、その分もともとのマゼンタインキに近づいてしまいます。

ここは、贅沢に蛍光ピンクを『補色』として使っていきましょう。マゼンタ版をもとに、マゼンタの濃度が高いところを中心に蛍光ピンクがのるように補色版を作成してみます。しかし、イエローの時と同様、スミ(黒)の効果を削ってしまってはいけないので、絵柄の暗部には補色版の色を抜く処理も必要ですね。マゼンタの上に蛍光ピンクを載せることになるため、濃度感は通常以上、蛍光の効果で鮮やかさ倍増となりました。

しかし、色相については本来マゼンタ中心の4cで表現されているところに蛍光ピンクがのっているわけで、もともとの画像に色を近づけたい、というご要望があるときは、ここから調整が必要ですね。この技術におけるRGBデータからの変換テーブル(プロファイル)は作り切れていないので、職人の感覚による手作業となります。

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