最新のUV印刷
最近のオフセット印刷では、UV印刷の存在感が大きくなっています。実は、UV印刷自体は1960年代からと結構昔からあったのですが、ここ15年ほどで急速に増えてきたのです。
その前の主流は、「油性インキ」を使うオフセット印刷でした。このタイプはインキが空気中の酸素と結合することで酸化重合反応を起こして固まるという性質を使っています。長い歴史があり技術的にもこなれてはいるのですが、乾いていない状態というのがどうしても発生するために、刷本同士がくっついたり傷がついたり汚れたりといったトラブルがとなり合わせでした。それらを防ぐためにパウダーを吹くのですが、そのパウダー自体も異物としてトラブルの原因になりがちでした。
一方旧来のUV印刷は強力なUVランプで光重合反応を起こさせてインキの樹脂を固めるタイプでしたが、機械が大掛かりになってしまう上、UVランプによって人体に有害で臭気もあるオゾンが発生してしまうので、排気のダクトが必要になりました。なかなか都心に設置できるものではなかったのです。
そんな中、印刷機械メーカーの小森コーポレーションが生み出したのが、ハイブリッドUV(H-UV)印刷システムでした。UVインキを高性能化し、紫外線の中でもオゾンを発生させない長波長の光線で硬化させるシステムにしたのです。これにより、乾燥部分のUVランプを低出力化することができ、オゾンも発生しないので臭気も抑えられ、ダクトも不要となりました。さらに従来のUV印刷よりも穏やかに固化するため、印刷面の質感も油性に近いものが実現できました。速乾により傷や裏付きなどのトラブルは減少し、刷了してすぐに加工に回せるなど、メリットは大きいものでした。当社では他社に先駆けて2010年に小森コーポレーションの初号H-UV 5色機を導入しております。
最近では、LEDタイプのUV印刷機が登場しています。もともとLED-UVは光線の出力が弱く、単波長(一つの波長のみ)で難があったのですが、最近は技術が向上し実用レベルとなっています。そうするとLEDのほうが消費電力も少なく、ランプ自体も長寿命なので、優れていると言えるでしょう。当社でも、2025年5月にLED型のH-UV機を導入予定です。
