環境対応用紙 ~FSC®(FSC-C006414)以外の用紙~
環境対応用紙として、FSC®(FSC-C006414)認証をご説明しましたが、健全な木を紙の原料とすることは変わらず、ほかの切り口はないのでしょうか?そういったご要望に応えるために、様々なものを原料にした紙(非木材紙)というものもあります。
まず、原料として出てくるのが、『バガス』。これは、サトウキビの搾りかすを原料としたもので、産業廃棄物の有効利用ともいえるものです。サトウキビの製造工程で発生する搾りかすは、多くは砂糖製造行程の燃料として使われますが、その余剰のバガスから作られたパルプを使った紙です。
次に、『竹』を原料としたものもあります。昔から日本では様々に活用されていた竹が、生活様式の変化や代替品の採用により、管理されなくなって荒れてしまった竹林が、あちこちで問題になっています。この竹を、パルプとして加工して開発された紙もあります。
また、『ケナフ』という熱帯性の草を原料としたものもあります。一時期は、エコ対策の決定版のように言われたこともありましたが、栽培することでの環境負荷の問題などもあり、そこまで広まっていないようですが、まだこちらも一部出回ってはいます。ほか、一般印刷用紙としては廃版になってしまったりしていますが、『わら』『アシ』などを使ったものもありました。余談ですが、昔の学校のプリントなどで使われていた『わら半紙』は、現在では「わら」を原料としたものは流通しておらず、『中質紙』と呼ばれるものが該当するようです。しかし、『中質紙』は『中質』であるはずなのに今は『上質紙』よりも一般的に値段が高く、コストの面からの利用価値はなくなっています。
これらとは別に、森林の『間伐材』を活用したものもあります。間伐材は、森林を手入れした時に発生するものですが、これをパルプとして活用したものです。また、量は格段に少ないですが、製紙会社によっては、割り箸のリサイクル活動を行い、集めた使用済みの割り箸を紙の原料として使っているところもあります。
さらに最近では、植物由来ではなく、日本にも潤沢に存在する石灰石を使った紙というものもあります。この紙は、一般的にはストーンペーパーなどともいわれますが、石灰石から抽出した炭酸カルシウムと樹脂(PE)を混ぜて、紙状にしたものです。一般紙と比べても製造過程での水の使用量も格段に少なく、プラスチックと比べても石油の比率が少ないため、環境には優しいうえ、リサイクルも容易といわれます。水に強いという特性があり、合成紙「ユポ」などの代替などとしても利用できる可能性があります。印刷工場にとっては、紙粉が多く出て刷りづらいという印象がありますが、技術的に改良が進んでいます。